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第 1 章 概要
1.4 FRAM の構造と強誘電体薄膜材料
現在 FRAM で使用されている強誘電体膜には , PZT (Pb(Zr,Ti)O3), SBT (SrBi2Ta2O9) などが知られて
います。PZT は , 圧電素子としてプリンタなどに広く使われ , 古くからその性質が知られており , ま
た分極量が大きいことから量産性に優れた材料の一つです。一方 , SBT は最近 FRAM への応用が研究
開発され始めた強誘電体材料で , 分極量は小さいですが , 書換え可能回数が比較的多いといわれてい
ます。
メモリセルの回路構成は , 信頼性の高い 2 トランジスタ 2 キャパシタ(2T/2C)方 式 , 高集積化が可
能な 1 トランジスタ 1 キャパシタ(1T/1C)方式があります。これらは , 比較的容量の大きい FRAM
を構成する場合に用いられます。また , SRAM 回路に強誘電体キャパシタを組み込んで不揮発性にし
た 6 トランジスタ 4 キャパシタ方式 (6T/4C) の FRAM もあります。これは , 富士通が世界に先駆けて
製品化したものです。この 6T/4C FRAM は面積が大きくなりますが , SRAM と同等の速度で動作させ
ることができます。さらに , トランジスタのゲート部分に強誘電体薄膜を用いる 1 トランジスタ
(1T)
方式のFRAMも開発中です。これは, 極めて積化の高いFRAMが実現できることが期待されています。